自身を客観的に捉える。感情的にならないための方法としてよく言われていることですが、なかなか抽象的で実践が難しいですよね。例えば「自身を客観的に捉えるためには、怒りそうになったら、一息つき、自分を切り離して、少し上から自身を俯瞰してみましょう。」といった記載は良く聞きますが、うーん。そんな余裕があったら怒るのを止められるでしょ、と突っ込んでしまいます。感情的になることは、ビジネス社会では女性としては特に気を付けたいと自覚されている方も多いと思います。
もう少し分かり易い感情コントロールの方法は無いのかなと考えるうち、解決策の一つとして、お坊さんがヒントをくれました。今回は小池龍之介さんという僧侶の方による『考えない練習』という本をご紹介します。考えることで発されている煩悩を遮断し、自身の感覚に心を研ぎ澄ませる訓練をすることで心が改善、穏やかに過ごせる、ということを教えてくれます。
■本書のポイント
・煩悩はコントロール出来る
・五感+意識に神経を集中させて考えを遮断する
・話す/聞く/見る/書く/食べる/捨てる/触れる/育てるという自身の行動自体を「認識」する
煩悩はコントロール出来る
「怒り」「欲」「迷い」は基本的な煩悩、心の三つの毒、といわれています。日常生活で「聞く→見る→考える→聞く→見る→…」と言ったことを繰り返すうち、頭が考えでいっぱいとなり、煩悩が増幅するのです。考えている間は、そのことに思考が囚われていて、他の感覚がおろそかになっています。結果、思考が負の煩悩を生み出し、それらの思考のみにエネルギーを割いてしまい、イライラに繋がっているそうです。本書ではこの状態を思考の病と呼んでおり、脳を休める訓練することで負の煩悩をコントロール出来ます。
五感+意識に神経を集中して、考えを遮断する訓練をしよう
具体的な訓練として、話す/聞く/見る/書く/食べる/捨てる/触れる/育てるという行動するにあたり、自分自身の感覚を認識する、ということが紹介されています。自分自身を観察することで、客観視出来、心が乱れづらくなる、その訓練方法を本書の記載から以下に実践しやすい点を纏めました。
話す:何か不快なことを言ってしまいそうになったら、話す内容ではなく、自身の声自体に集中する。すると、自分の声が上ずっているな、早口になっているな、苛立っているな・・・ということが客観視出来る。
聞く:不安や迷いを、口答えや音楽等の刺激のある音で紛らわすと、心が刺激に慣れてしまい、刺激がないと落ち着かない人になってしまう。心が乱れたら、日常の音(パソコンのキーボードの音、雨の音・・等々)に耳を澄ませてみる。話し相手の声が攻撃的だったら、音自体ではなく、その人の感情に耳を傾けてみる。
見る:話相手の表情を観察することは大切だが、無駄に心が疲れるため、相手の表情を自身の心にフィードバックしない。ただ、見る、という動作を心掛ける。もし心が乱れたら、一旦目を閉じて視界を遮断することで落ち着くことが出来る。
書く:文章は見られたい、見て欲しい、という欲を捨て、自身のために書くことで心が整理出来る。
食べる:食事は食べ過ぎないということを考え過ぎるのではなく、目の前の食事を丁寧に食べる。
捨てる:モノを所有することで、失いたくないという煩悩と繋がることになる。目の前の不要なものを整理習慣をつけることで、心が落ち着く。
触れる:集中力が途切れたら、自身が触れているもの(座っている椅子の感覚、しびれている脚・・等々)の感覚に集中してみる。自身が認知出来ていなければ、その状態から変わることは出来ない。
育てる:自分の考えを押しつけない。アドバイスをする際は、相手の心を深堀すること。慈悲の心を自身の欲を満たす道具にしない。
本書で著者の凄さを感じたのは、「触れる」のパートで記載があった、彼は「蚊の痒みは単なる情報として放っておく」ということが出来る、ということです!!蚊の痒みに対して、これは情報だと考えたことがあるでしょうか!?蚊に刺された情報を、脳内で嫌なデータだと書き換えることで、これは破壊すべきことだと暴走、結果、「痒い~!」と搔いてしまうことに繋がるとのこと。この、嫌だ!と感じる感覚を単なる情報としておいておくことが出来れば、痒いからひやすら掻きむしるという行為を止めることが出来るそうです。感覚に集中して、達観出来ると、こんな境地に至るのですね!
蚊の痒みも感情的な反応の一つだったのですね~。如何に自分の生活が感情に左右された行動と繋がっているか、思い知らされました。
感情的な行動はとても人間らしく、時には素敵なものですが、やはり日々の生活は穏やかに、イライラせずに過ごしたいですよね。上記を参考にして、自身を客観的にとらえる訓練をしてみましょう。
自身の五感や意識に集中出来ると、毎日を大切に過ごそうと思えますよね!私もこれから蚊に刺されても痒くない人間を目指したいと思います(笑)。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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